遺体とセックス？！誘拐、暴行、殺害、性交、遺体を線路放棄…事件の全貌を追った

2018年、新潟市西区で小学2年生の女児が行方不明となり、線路上で遺体で発見された殺害事件。

2018年5月9日、新潟西署に「娘が帰ってこない」と母親から通報があった。

友人と一緒に下校。

友人とは学校から帰る途中にある踏切の手前で別れた。

踏切から自宅までは数百メートルで、子どもでも数分の距離。

母親が新潟西署に「娘が帰ってこない」と通報。

新発田発内野行き下り普通列車が通過した際の線路には異常はなかった。

新発田発内野行き上り普通列車にひかれ、死亡しているのが見つかった。顔はうっ血していた。

捜査本部は当初から土地勘がある人物が関与していた疑いがあるとみていた。

物的証拠が乏しい中、新潟県警新潟西署捜査本部は目撃情報の収集や精査を進めた。

生活道路には防犯カメラは設置されておらず連れ去った際の直接の状況は判然としなかった。このため、捜査本部は捜査員１３０人態勢で、幹線道路で検問などを実施。

この時間帯に現場を通っていた車からドライブレコーダーの提供を求め、生活道路へ入り込むなどした不審車の割り出しを進めていた。

その結果、「黒い車」に乗った近所の男が浮上。会社員の小林遼を死体遺棄容疑で逮捕した。

小林と女児の自宅は直線距離で約80メートル、2分も歩けば到着できる近さにあった。2人に面識は無かった。

小林は事件があった地で生まれ育った。被害女児がと同じ小学校を卒業した後、地元中学校、工業高校を卒業。

自宅から車で20分ほどの電気工事会社に就職した。

周辺住民は“礼儀正しい人だった”“大人しそうで問題を起こすようには見えなかった”と口を揃える。

事件の前、山形県内に住む14歳の女子中学生にわいせつな行為をし、書類送検されていた。

勤めている会社をはじめ、加害者の周囲にいる人たちがその事実を知らなかった。

勤務先の社長は気づいていなかったようだが、実は、小林は社内で危険な動きを重ねており、同社の関係者が言う。

「4年前の社員旅行では、ほかの社員が連れてきた女児にまとわりついて、“子どもが好きなんだな”というくらいで、不審には思われていませんでした。いま考えるとゾッとします」

「僕たちとは全然遊ばなくなって、代わりに、近所の小さい子たちと遊ぶことが多くなったんです。同時に“あいつ、ロリコンでやべえ”みたいな声も聞こえてきて、僕らはなおさら近づかなくなりました」

勤務先の電気配線工事会社を事件当日の7日に無断欠勤し、8日以降も休んだ。

欠勤理由は“会社に向かったが気分が悪くなり家に戻ってきてしまった”とか“ゴールデンウィーク休みで気が抜け、なかなか仕事に復帰しづらい”といった内容だった。

5月14日朝、事件現場から4キロほど車で十数分の道の駅「新潟ふるさと村」駐車場で小林は任意同行を求められた。

「7時ごろには軽自動車を囲んだ警察官が車内の男に声をかけ、10分ほどして、男は白い無地の半袖Tシャツ姿で出てきた。暴れたり声を荒らげたりする様子はなく、警察車両に乗り込んだといいます。これが、小林だったわけです」

車内には練炭があり、自殺を準備していたと思われる。

2019年11月、新潟地裁（山崎威裁判長）の裁判員裁判の初公判で「首を絞めたのは間違いないが、静かにしてもらうためで殺意はない」と述べ、起訴内容の一部を否認した。

弁護側はわいせつ行為も否定し、殺人と強制わいせつ致死の罪ではなく、傷害致死罪が成立すると主張した。

事件当日の朝、小林は起きてすぐに無断欠勤を決めた。そして６時55分、スマホのグーグルアカウントからログアウト。

その後事件直前まで、女児を物色しながら車を走行させていた。

目撃されたときのカムフラージュのために二着のズボンを重ねてはいたりしていた。

起訴状によれば小林は当日15時20分ごろ、新潟市西区において運転中の軽自動車を、下校中の女児の臀部に後ろから衝突させた。

転倒した女児を抱きかかえ軽自動車の後部座席に乗せた。この時、「頭が痛い、お母さんに連絡したい」と泣いた為に、頸部を圧迫して気絶させ、車を発進。

15時28分ごろから59分ごろまでの間、『なぎさのふれあい広場』駐車場にて、女児の下半身に触れ、わいせつ行為に及ぶ。意識を取り戻した女児が大声で泣いた為、頸部を約５分以上にわたり圧迫して殺害した。

16時ごろ、性欲がおさまらず、アダルトショップに立ち寄りローションを購入した。その後、女児の遺体が死後硬直していることを認識。

お湯であたためれば弛緩して死後硬直を解き、わいせつ行為ができるのではないかと考え、18時30分ごろ一旦自宅に戻った。

水筒にお湯を詰め、再び車を発進させる。19時ごろ、通称『たこ公園』駐車場に停めた車の後部座席において、お湯で女児の下半身をあたためわいせつ行為に及んだ。

殺害後にわいせつ行為に及んだのち「死体処理」「死体博物館」「女体博物館」などのワードで検索。

このあと、小林被告は線路に女児の遺体を遺棄した。

事件から5日後には、出会い系サイトで知り合った女子児童に対して「金を払うからセックスしよう」と持ちかけていた。この2日後に小林は逮捕された。

検察は「被告は車を背後から衝突させるなど、それ自体で死亡させる危険のある行為をちゅうちょなく選択でき、『殺意はなかった』という弁解は自己保身のためで、全く信用できない」と指摘。

そのうえで「みずからの犯行に正面から向き合おうとする態度は一切なく、更生の可能性はないと言ってもいい。まれにみる非道な犯行で、結果は重大であり生命軽視の度合いは甚だしい」として死刑を求刑した。

一方、弁護側は「被告は人の首を絞めると気絶するということを過去に経験していて、人が死ぬ危険な行為という認識はなかった。」などと述べ、殺人罪ではなく傷害致死罪にあたると主張し、長くても懲役10年の刑が相当だとした。

判決では、犠牲者が１人の殺人事件で極刑が判断されるかどうかが注目されていた。

2019年12月4日、新潟地裁の山崎威裁判長は、被告に無期懲役を言い渡した。

判決理由で、裁判長は被告に殺意はあったとして殺人罪の成立は認めたものの、計画性はなかったとした。

また同様の事件と比べ、執よう性や残虐性は特になく無期懲役刑が妥当として、死刑は選択しなかった。

遺体を線路に遺棄した行為が殺害行為そのものではなく、量刑を直接重くするものではないと指摘。死刑は生命を奪う究極の刑罰で、判断には慎重さと公平性が重視されるとし、「どうしても、処罰感情を優先させることはできない」と述べた。

裁判員らは固い表情でうつむき、１人は判決文の読み上げを聞きながら、被告をにらんだ。

公判で被告は、毎日１回、女児に祈りをささげていると反省を口にしていた。裁判長は「１回と言わず何度も手を合わせ、土下座してほしい。そのうち気持ちがこもり、罪を理解できるかもしれない。その日が更生の出発点です」