その背景には、長年チョコレート業界を悩ませている”あの問題”があるようです。
■いまや欠かせない食べ物となった「チョコレート」
日本チョコレート・ココア協会によると、国民一人あたりの年間チョコ消費量は、2010年の1.74kgから17年には2.16kgまで増加。
出典2019年バレンタインは“チョコを楽しむ日”に/各社動向まとめ|食品産業新聞社ニュースWEB
国産大手メーカーとチョコレート専門店中心に、カカオの産地や配合量にこだわった商品の選択肢も増え、自分好みのチョコを選んで日常に取り入れる人が増えている。
出典2019年バレンタインは“チョコを楽しむ日”に/各社動向まとめ|食品産業新聞社ニュースWEB
■そんなチョコレートが「値上がり」するかも…
原料となるカカオ豆の2大産地国であるガーナとコートジボワールが、輸出の際に大幅な割増金を課す新制度を打ち出した。
来年10月の導入を計画しており、全輸出品に1トン当たり400ドル上乗せされ、現在の相場水準で試算すると約2割高となる。
■チョコレートについて
原料はカカオ豆
中央アメリカから南アメリカの熱帯地域を原産とする常緑樹・カカオ。
出典チョコレートの起源に新説 従来説より古く5000年以上前と=研究 – BBCニュース
このカカオの種子(カカオ豆)に発酵や乾燥、焙煎、磨砕など様々な加工を行ったものがチョコレートの原料となる。
出典2020年「チョコレート危機」は本当に来るのか | 食品 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
生産量と主要産地
国際カカオ機関(ICCO)によると、2018/2019年度(2018年10月~2019年9月)のカカオ豆の世界生産量は約485万トン。
出典カカオ豆の生産者買い上げ保証価格を引き上げ | ビジネス短信 – ジェトロ
現在、カカオは西アフリカと南米で多く栽培されており、ガーナとコートジボワールで世界の生産量の60%以上を占めている。
出典米カーギルがカカオ加工工場を拡張 | ビジネス短信 – ジェトロ
■背景にあるのは「カカオ農家の貧困問題」
農家の大半が貧困
世界で1000億ドル(約11兆円)規模といわれるチョコレート産業であるが、カカオ農家の多くは「貧困状態」にある。
出典CNN.co.jp : チョコレート産業の裏側、なぜカカオ農家は豊かになれないのか – (1/4)
世界銀行によると、コートジボワールでは農家の半数以上が1日約1.2ドル(約130円)未満の収入しかないという。
児童の強制労働も横行
カカオの国際取引価格は低下し続け、現在はチョコレート・メーカーに有利な低すぎる価格が設定されている。
出典CNN.co.jp : チョコレート産業の裏側、なぜカカオ農家は豊かになれないのか – (2/4)
農家の賃金も低下し、西アフリカ地域では多くの児童が強制労働を余儀なくされている。
出典CNN.co.jp : チョコレート産業の裏側、なぜカカオ農家は豊かになれないのか – (2/4)
■ガーナ政府関係者「農家を守る」
このような状況を改善するため、コートジボワールとガーナは近年、協調して高値で販売する姿勢を示している。
出典カカオ農家 取引価格不満 インドネシア、欧州でチョコ高評価も… – SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
ガーナのカカオ豆輸出を統括する政府系機関のオポク副総裁は取材に対し、「最も弱い立場にある農家を守る」とコメントしている。
チョコレート大好きだけど、値上げしてくれて全然構わない。原産国で働く人の労働環境が少しでも改善するなら。
— 彩 (@kasuga_841) October 20, 2019
カカオ豆で大儲けしている投資家が、ヨーロッパとかにいるんだね。で、生産者は日給86円って、投資家の奴隷みたいだね。日本のチョコレートも、値上がりしても仕方ないだろうね。食べる量を、減らしたらいいかな…。 https://t.co/KQ5xnaPbYH
— まる (@nwa0329) October 20, 2019
バナナ、コーヒー、カカオ豆、それからアボカドは、搾取で成り立つ農業の代表的作物ですね。生産者さんのために、来年にもチョコレートが値上げされるらしいけど、しょうがない。でも、上った分のお金は末端に渡るのだろうか。たぶん、有力者がランボルギーニを買い替えて終了だろう。
— くるあい (@kwluai) October 20, 2019
■メーカー側からは不満の声も…
カカオ豆価格は、投機の対象にもなる先物市場で決まり、最近も7カ月間で1トン当たり700ドル超値上がりするなど変動が激しい。
出典米カーギルがカカオ加工工場を拡張 | ビジネス短信 – ジェトロ
欧州のチョコレート・メーカーの一部は割増金支払いに消極的で、ある国内メーカー関係者は不安を漏らしている。